涎が出るほど抱き締めて



と、いうことは、余裕ができたってことで。


熱さもだいぶやわらいで、恐る恐る体を動かしてみる。



腕が、体が、足が。



ふわふわといつも通り動く。


「な、ん」


患部を見てみると、服についた血はそのままでも――なおっていた。

刺し傷がないのだ。


魔法のように塞がってしまった。




「朽木さん…これ、」


「屍食鬼のナイフはすごいんだよ。

一回させば確実に死ねる。

二回させば、生き返る」


「えぇえ…!?」


「聞いたことない?」



お馬鹿さん、と怪しく微笑む。


聞いたことないよ、そんなの。



笑う彼をみて、心が揺らいだ。



死なせろという思いと、死ななくてよかったという思いが。


彼の笑顔を見れたのだ、死ななくてよかった。

これから地獄なんだ、死にたかった。



ぐっちゃぐちゃで、泣きたくなった