涎が出るほど抱き締めて


なるほど、そうなんだ。


「晴ちゃん?どうかした?」

「あ…いえ、その…、!」


ドタバタと玄関が煩くなる。

ドアを開ける音、開いた音。

わいわいと話す音、向かってくる足音。


――帰ってきた。



血液が嫌だと騒ぐ。

どうしよう、逃げなきゃ、逃げ――


「晴ちゃん、逃げる?俺がさらってあげようか」


朽木さんが聞いてきた。

恐る恐る朽木さんを見れば、整った顔が心配そうに歪んでる。



まるで、私の友達みたいに。



気にしないで。

そういって、あの人たちは傷ついた。



朽木さんもそうなっちゃう?



私を連れ去ったあと、身元がばれたら?

屍食鬼だってばれたら?


朽木さんは終わってしまう。


ナゴーブの威力を知らないが、どうしようもなくそう思った。



「晴ちゃ〜ん、来たよぉ!今日は玩具も持ってきたんだ」

「アレ?その男誰?お前のなかま?」

「あ?待って思い出せねぇ」


いち、に、さん、し…6人。


がらの悪い男が6人か。