◇◇◇
お母さんとお父さんをいっぺんに失ったのは、ムカつくくらい晴れた日だった。
二人そろって出掛けた先で事故に遭ったのだ。
車内は大炎上。
顔すらわからない状態で発見されたらしい。
そして――葬式の日にわかったのだ。
お父さんがちょっとヤバイ金貸しに手をつけていたことに。
お父さんは地揚屋という土地を奪う職場で働いていて、仕事上金が必要だった。
社長に変わって借りてくることも多々あり、ちょうどお父さんが死んだ時も借りていた。
借りた金は社長が返してくれると思い込んでいた。
の、だが。
・その土地の地あげも済んでないのに払えない。
・そもそもツマミ(お金を借りること)は個人的な問題
・なにしろその金は地あげにつかうものと一筆も書いていないた。
社長に雇われた弁護士にそう言われ、私はなすすべがなかった。
わかりやすいとかげの尻尾切りだ。
私はまだ子供だ。
高校生とはいえまだまだ子供。
警察に行こうかとも迷ったが、地あげのためにちょっとヤバイこともしていたお父さん――不味いだろう。



