月光の下






「……お前」


「……」




いた。
彼が、いた。



お客さんがいなくて暇なのか。


レジのカウンターで本を読んでた。






彼の顔を見た瞬間、我慢してたモノがブワっと溢れてきた。



情けない顔、見せたくないのに……。


堪えるの、無理。




抑えられない……。
苦しくてもうダメ……。





「っ……」


「え……」




泣き出した私に、彼がギョッとした顔をした。