月光の下






「っ……」



目に涙が浮かんできた。


俯いて、急いで階段をかけおりた。




バタバタと走って、ガラガラと玄関の引き戸を開けて家を飛び出した。






必死に走った。
走る事に必死で、涙は自然と流れなかった。






走ってたどり着いたのは、彼がバイトしてるパン屋さん。


無意識のうちにここに来てた。





いるかわからないけど、
フラフラした足取りでお店の中へ。




カラン、と。
ドアについてるカネが音を立てた。