月光の下








「死んで後悔とか、ないですか?」


「あるわけないだろ……。絶対にない」




強く言い切る彼の口調には、少しも未練を感じられなかった。






「じゃあ死にましょうか。一緒に……」



私は咄嗟に彼の手を握った。
大胆な事したな、と。
やった後に恥ずかしくなった。



慌てて手を離そうとしたが、彼はギュッと握り締めていて無理だった。





「自分から握っておいて、何で離そうとするわけ?」


「だ、だって……」


「何……?」


「は、恥ずかしいから……」





彼はフッと笑って「そっ」と言った。