「一宮さん、まだですか……?」 「お前、さっきから同じ事ばっか言ってるぞ」 「すみません。つい」 歩き始めて、どれくらい時間が経ったんだろう? 結構な距離を歩いた気がする。 こんなに歩くなら電車の始発の時間まで待った方がよかったんじゃないか、と思った。 でも彼は変装してない。 恐らく素顔を見られるのはヤバイだろうから、あえて歩きにしたんだろう。 空が薄明るくなってきた。 でも月はまだ顔を出してる。 月だけは、私達を優しく見守ってくれていた。