彼の発案で、私達で2人で歩いて海を目指した。 「海、遠いんじゃないですか?」 「少し歩くけど……夜明けくらいには着くんじゃねぇの?」 「じゃあ……たくさん歩かないとですね」 自然と私の顔には笑みが零れていた。 彼も笑ってた。 静かな夜道。 2人で並んで歩いてると、 この世界に私と彼の2人だけになったような。 そんな不思議な感覚に陥った。 この平穏な時間がいつまでも続きますように、と秘かな心の中で祈った。