「ここから、早く離れた方がいいです」 私は懸命に彼の手を引っ張った。 彼は黙ったまま、私に手を引かれた。 家を出て、彼の手を引いて走った。 周囲も見ずに、ただ走った。 遠くから聞こえてくるサイレンの音から必死に逃れるために。 だって、警察に見つかったら捕まっちゃう。 彼が連れて行かれる。 そんなの……嫌だよ……。 必死になって走る私達を、真っ暗な夜空に浮かぶ月だけが儚く照らしていた。