月光の下







「一宮さん……」



最悪な人生。
生まれなきゃよかったって、思う事は多々あった。




今すぐ死んでいいって思ってた。


何も楽しい事なんかない。




早く命が枯れてしまえばいいっていつも思ってた。





だけど……よかった。
一宮さんに出会えてよかった。




彼に会えた事が、きっと私の人生の中での唯一の幸せ。





「奈柚……」



彼が私の名前を読んだ時だった。


遠くの方から、微かにサイレンの音が聞こえてきた。