自分の手で家族を殺めた時、彼はどんな気持ちだったんだろう。
悲しかった?
清々した?
辛かった?
「殺し屋を始めたきっかけは……ただ単に、世の中の俺みたいに困った奴を助けるため、かな」
意外な理由に、少し仰天した。
「世の中は理不尽で不公平。横暴で汚い人間がのうのうと生きてる。中には死んで当然の奴だっているんだよ」
彼の意見は、乱暴だが間違ってはない。
正論だ、と私は思った。
「でもま……普通に考えて殺人なんか、最大のタブーだって俺も理解してる。こんな職業は本来なら、なくなるべきなのに」
どんな理由があろうと、殺人はしてはいけない。
それが世の中の定義。
だけど死んで当然の人だっている。
矛盾してるよね?

