月光の下





震えながら話す彼を咄嗟に“抱きしめたい”と思ったがグッと堪えた。



汚れた私が、
むやみに彼に触れていいのだろうか?





「両親は……2人ともどうしようもない奴だった。お互いにバツイチで不倫した末に結婚した最低夫婦なんだよ。でもま、不倫の果ての恋愛なんか上手くいくわけもなく衝突ばっか」



彼の手が、私の指先に触れた。


ドキッとして、すぐ手を引っ込めようとしたが、彼はそれを許さないらしく私の手をギュッと握った。





「挙句の果てには父親は毎日酒に溺れて、母親はほぼ毎日ってくらい若い男を家に勝手に呼ぶし」



私の母親と一緒だ。


私の母だって、毎日毎日男の人と……。