そんなある日の事だった。
ある“悲劇”が起きてしまった。
「……寝てるんですか?」
この日の放課後、一宮さんが働くパン屋さんに行った。
食パンを買って帰るよう頼まれたから。
でも店内に入ると、一宮さんはレジのカウンターに突っ伏していた。
寝てるのかな、と。
変な悪戯心が出てきて、頭をわしゃわしゃ撫でてみた。
「調子乗るな」
「あ……」
いきなり腕をガシっと掴まれた。
「起きてたんですか?」
「半分寝てた。今夜、仕事の依頼が何件か入ってるから」
「そうですか」
そういう情報、むやみに人に教えていいの?