桜の花びらは美しく、儚く、散っていく。

ガチャ

私は屋上に連れて行かれた。

「おかえりー!」

可愛らしい声で逢瀬朔夜に挨拶をする男の子。

………誰だろう…?

彼は私を見てにこり、と笑うと

「いらっしゃい!咲良ちゃん!」

と言った。

「え……なんで名前………」

「調べたらなんでも分かるよー!」

笑顔で恐ろしいことを言ってきた。 

「僕の名前は、蓮翔(れんと)!2年だよー!」

よろしくね、なんて言われて、こちらこそと返す私。

「朔夜は自己紹介したのー?」

しかめっ面をしている逢瀬朔夜に、蓮斗くんが言う。

「………………分かるだろ。」

眉間にしわを寄せて言う姿に、背筋が凍る。

こ、怖……。


どうやら、自己紹介しなくても俺のことは位は分かるだろということらしい。