「すぅっ……」

春の香りがする空気を、思いっきり吸い込む。

「っよし!」

新学期早々、朝から沈んでいられない。

私は気分を上げるため、鼻歌まじりに歩く。



ちらりと桜に目をやると、桜の木の下に座り込む人を発見。


「具合悪いのかな………?」


心配になった私はゆっくりその人に近づく。

よく見ると私と同じ高校の制服を着ている。


「……綺麗。」


思わずそう呟いてしまう程に、美しい金色の髪。

その髪には、いくつか花びらが付いている。

「桜、付いてる………。」

花びらを取ろうと髪に手を伸ばすと、ガシッと掴まれた腕。

「…………?」

首を傾げると、ゆっくり目を開けるその人。


「……………誰?」


低い眠そうな声で聞かれた。