桜の花びらは美しく、儚く、散っていく。

そっと朔夜の肩を押す。

「……体調、悪いみたい。帰るね…。」

私はにこ、と笑って見せる。

笑顔が引きつったりはしない。

嘘をつくのにも、もう慣れた。

「………送ってく。」

朔夜はバイクの鍵を取って言う。

送ってもらうのは悪い気がするけど、正直ここから家までは距離がある。

「……お願いします。」

ぺこ、と頭を下げて、朔夜の後ろを歩く。


「…………咲良ちゃん……。」

小さく、蓮斗が名前を呼んだ。

「大丈夫!…ばいばい。」

勿論、もう会わないつもりで。



ブルルルルン

朔夜のバイクに乗る。

春とはいえ、夜はまだ冷える。

温かさを、朔夜の体温を求めるようにぎゅっと腰にしがみつく。

朔夜は気づかないのか、気づかない振りをしているのか。

とりあえず、今は朔夜の優しさに甘えることにした。