「七音…!?」

「どうした?」

「今…笑ったよね!?」

「はっ!?」



無意識のうちだったようで、七音はかなり慌てていた。



「て、てか宮野も俺のこと名前呼び出し!」

「え!?本当?」



どうやら私も無意識のうちに、七音と呼んでいたみたい。




「そういえば、七音って、本当にギャップ激しいよね。
最初出会った時は敬語で一人称も“僕”だったのに、今じゃ敬語じゃないし一人称も“俺”に変わったよね」

「…そうだな。
というか、宮野の前では崩されている気がする」

「何それェ」



病室で私たちはクスクス笑う。




笑う七音の姿は、

あのドーナツ片手の写真で見た、

あの無邪気で

素直な、可愛い笑みだった。





私はずっと見たかったんだ。

この笑顔を―――――――…。