「カナコさん、今先生に呼ばれているんです。
帰るの遅くなるって焦っていましたよ」



アッサリ嘘をつく一光お兄様。

…大丈夫なんでしょうか?



「あらそうなの?
困ったわね…。
うちの人になんて説明すれば良いのでしょうか?」




佳奈美さんが呟く。

あたしたちはそれを聞き流さなかった。




「カナコさん、お父様と仲悪いんですか?」



一光お兄様がストレートに言う。



「え?
…ええ、まあ」

「確か大学教授の宮野弘さんですよね?」

「…カナコは父親と仲良くしたいんですけど。
父親の方が、とんでもない無口で。
父親に話をさせ、笑顔を見るため、カナコは特進クラスで頑張っているんですのよ」



とんでもない無口…。

笑わせようと頑張っている…。




カナコさんのお父様、

どことなく…瀬川様に似ている気がしますわ。