白い狐の探しモノ

かなり昔からありそうなその祠は、不気味なオーラを放っていて。

正直、ちょっと恐怖心があった。


「どこにいるの?一緒におうちに帰ろ?」


その祠の前で、私はそう言う。
きっと、この近くにいるはず...。


「...家?」


暫くして、返事が返ってきた。
それも、かなり近くから。


「...それってさ、僕に言ってるの?」


先程と同じ少年の声。


「そうだよ、あなたに言ってるの。迷子なんでしょ?もう日も暮れちゃいそうだし、早く家に...。」

「それなら心配しないで帰りなよ。僕なら大丈夫だから。」


冷静な少年の声に、少しイラつく。


「助けてって、言ってたじゃない。」


そう、助けを呼んでたくせに...。


「...あれは暇潰しみたいなものだから。まさか本当に人が来るなんて思っても見なかったけど。」


随分と冷めた口調。
可愛らしい少年の声とは合わない。


「...家の人、待ってるでしょ?」

「...大丈夫。僕のことを心配してる人なんていないから。」

「そんなわけないって。早く家に...。」

「..随分としつこいんだね。家ならここだよ。」


ここ...?
どこにも家なんてない。


「ここってどこよ。」

「...はぁ。ここだよ。君の目の前。」


私の目の前には、祠だけ。


...祠?
いや、まさか。


「ねぇ、ちょっと。冗談要らないから。」

「...なんなら開けてみる?そんな鍵、すぐ壊せると思うから。」


挑発的なその言葉に、私はその祠の扉を開けることに決めた。
鍵はかなり錆び付いていて、触れるだけでボロボロと壊れていく。
いつからあったのよ、こんなの...。

私は鍵に石を打ち付け、壊したあとにその祠に手をかけた。