頼む、目を開けてくれ。

君にまだ伝えてないことがあるんだ。

一緒にやりたいことだって山ほどあるのに……。


俺はいつだって後悔してる。

後になって気付いたって遅いのに。


御影専用の大型ヘリで病院へ搬送中の機内。

希和の腹部からは、とめどなく血が……。


ドクターヘリの到着を待つより、専用ヘリで搬送した方がいいと判断し、現在に至る。

空港内の病院から医師と看護師が1名ずつ搭乗しているが、

その表情がとても険しく、一刻の猶予もないことが窺える。



5分ほどで病院の屋上に到着し、すぐさまエレベーターで3階手術室へ。


「希和………」


手術室の入り口で、ストレッチャーが停止した。

俺はそっと彼女の頬に触れたが、ピクリとも動かない。

数分前までは俺に笑顔を見せてくれていたのに……。


「お願いします」


物々しい雰囲気で、彼女は手術室へと姿を消した。


悔しさと遣る瀬なさで怒りが込み上げてくる。

俺は一体何をしてたんだ。

いつだって犠牲になるのは彼女じゃないか。

握る拳がわなわなと震え出す。

クソッ!

何故、彼女がこんな目に……。

あれほど、厳重に警戒してたのに。



手術室の前で必死に祈る。

どうか、………どうか、無事でいてくれ………。

彼女が助かるなら、何だってするから。

だから、俺の元に―――――。


「京夜っ!」


どれほどの時間が経ったのかすら分からない。

無我夢中で祈り続けていると、母親と彼女の母親が吉沢と共に駆け寄って来た。


「申し訳ありませんっ!本当に………申し訳っ、ありません」