婚約披露パーティーを2日後に控え、

私はお母様と共に会員制のサロンを訪れている。

ここは個人情報が厳重に守られていて、御影の御用達でもあるらしい。

お母様の話では、京夜様も年に数回ここを訪れるという。


女性ならともかく、男性がサロンで一体何をするのだろう?


ビロードの絨毯で出来ている通路を奥へと歩み進めながら、そんな事を考えていた。




通路の突き当りの部屋に通され、

お母様は一つ手前の部屋に姿を消した。


スタッフの指示に従い、バスローブ姿に。

今までの人生は、

“サロン”と呼べるような所とは一番縁遠い生活をして来たから、

別に悪い事をしている訳でもないのに、変な汗が出て来た。


空手や柔道の試合の時のように深呼吸して、

心のざわつきを鎮めていると、

スタッフがワゴンを押しながら現れた。


ヘアケア、ネイル、フェイシャルは勿論の事、

全身隅々まで施してくれるという。

一番の驚きは、口腔ケアまでするという。


やはり人前に出るのだから、

美しい笑顔になる為には歯の手入れも重要なのだろう。



極上の時間を4時間ほど過ごし、

ローズヒップティーを頂きながら、

明らかに艶やかになった自分の肌にうっとりしていると。