【完】あたしはニセカノ。

「だってな?殴るっつってんのに、無防備だし」


「そっ、それは…そうすれば、涼くんの気がすむと思ったから…」


「だから、黙って殴られる?バカかお前は」


涼くんは、あたしのおでこを軽く小突く。





バカって…そんな言い方って、ないよ。


けど、さっきみたく冷たい表情じゃない。


どちらかというと、親しみを込めた顔であたしを見ている。


「ホント、嫌いだわお前のこと」


って言いながらも、口元は笑っている。


嫌い…


そう言われたのに、


無視されるより、


冷たい目で見られるより、


何十倍も嬉しいのは、どうしてかな。