【完】あたしはニセカノ。

校舎を出てからも、涼くんは振り向きもしなければ、立ち止まりもしない。


…頑張れ、あたし。


涼くんと向き合うって決めたんでしょ!?


自分に喝を入れ、遂に涼くんに気持ちを伝える決心をした。







「あの雪の日…受験票を拾ってくれた涼くんが、神様に見えた」


こんなこと言って、引かれるかもしれない。



だけど、口が勝手に動くの。



「心細くて、どうしようもなくて…そんなあたしに優しくしてくれたよね」


「…………」



もちろん、涼くんは黙ったまま振り向かない。


後ろをついて歩きながら、あたしは話し続けた。


「そんなことぐらいで好きになるなんて、あたしって単純。

例えニセモノだとしても…涼くんのカノジョになれて、すごく嬉しかったよ」


ニセカノとしての立場も、



たった今、ここで終わるかもしれない。



それでも…



これだけは、涼くんに伝えたい。