【完】あたしはニセカノ。

「涼~、帰ったんじゃなかったのか」


三田村くんが、涼くんに話しかけている。


「ああ、オンナから呼び出し」


おっ…オンナ。


それはまさかの、告白でしょーか…。


なんて返事したの?


気になるよ…


でも、聞けない。


「そんな…紗南ちゃんの前で、わざわざ言わなくても」


三田村くんが申しわけなさそーに、あたしを見る。


そうだ、そうだ。


涼くんは、あたしが傷付くってわかって、


また、イジワルしてるんだよね。


ホント、ひどいよ…。






「カバン取りに来ただけだし。邪魔したな」


…え?


そう言い残すと、カバンを肩にひっかけて、


涼くんはさっさと教室を出て行ってしまった。