【完】あたしはニセカノ。

「涼のことで悩んだら、連絡してって言ったのに」


三田村くんがスマホ片手に、クスリと笑う。


「そっ、そーだったよね。うん…ありがとう。連絡する…」


三田村くんって、ホントに優しいな。







ーーキュッ。


静かだった廊下から、廊下と上靴が擦れるような音が聞こえた。


廊下に視線を移すと、涼くんが廊下の外から教室の中を見ていた。


ドキーッ!!


りょ…涼くんっ!!


あたしとは視線が合うでもなく、涼くんが教室に入ってきた。


もしかして、これが…


三田村くんの言う、視界から消し去るっていうこと?


あたしには、目もくれない。


不安な気持ちに押しつぶされそうになり、なにも言えなくなってしまった。