【完】あたしはニセカノ。

「紗南ちゃんの知らないところで言われてる。八方美人だって」


「そんな…三田村くん、優しいよ?」


あたしは、いつも優しい言葉をかけてくれる三田村くんが好き。


「優しいだけじゃ、ダメなんだよな。俺と涼を合わせて2で割ったぐらいが、ちょーどいいのかも。

だから俺ら、気が合うんだよな」



納得。


合わなそーなふたりだけど、意外なところで絶妙なバランスをとってるのかな。








「紗南ちゃんは…俺と似てるかな。他人を不機嫌にしたくなくて、頑張る。

涼の笑顔が見たくて、頑張る」


「そ、そうなの!嫌われてるってわかってても、話しかけちゃうの。

もしかして、また笑いかけてくれるかな…って」


そしたら、三田村くんが大きな声で笑い始めた。


「あははっ!!嫌われてないだろ、カノジョだし」


もういっそ、カミングアウトしてしまいたい。


あたし、ニセカノなの!って。