こうなればもう、意地の張り合いだ。


女はたまにチラッと俺の方をみて、歩みを速める。
俺もそれに負けじと着いていく。


途中から女は俺を振り切るのは無理だと解ったのだろうか。
歩くスピードを弱めた。



___が、普通に買い物をはじめてしまった。




....おい、ゴラァ。人の事はガン無視かぁァァァア!?
俺様を空気として扱うんじゃねぇェェェエえ!!!


俺の中の火山は爆発寸前だった。

どうにか抑え込んでその女をみていた。


そこで、俺は良い考えを思い付いた。
この女にどのくらいの教養があるか試してやろう。



俺の歌に感心すれば、心を開いてくれるのではないか?
同じくらいの身分なのだから、女も歌くらい詠めるだろう。
俺の詠む歌の素晴らしさ位、理解出来るだろう。



俺はそう思って...そう思った。
だから、歌を詠んだんだ。