制服姿と言っても、桐野くんは冬でもないのに首にマフラーを巻いている。

やはり喉をこれ以上痛めないためなんだって。




「俺、ユメのこと好きだわ」

「そうなんだ…。
………はあああぁぁぁぁああ!?」

「叫びすぎ。
図書室ではお静かにって、前にユメ言ったよね?」

「ご、ゴメンナサイ…」

「罰として、俺のこと名前で呼んでよ」

「え!?」

「ほら早く」



演劇の本を閉じ、桐野くんは私を見る。



「…ひ……」

「ひ?」

「…ろき………」

「ろきって名前じゃないんだけど?」

「大貴…」

「おっ!
言えたじゃんユメ!」

「…うん」



あ~恥ずかしい。

名前呼びって、こんなに恥ずかしいものなんだ!!

小説の参考にしよーっと。



「そういえば、柏ユメの小説読んだよ」

「ど、どうだった?」



思わず身を乗り出す。

リアルで感想聞けるんだもん!

貴重な体験だからね!!