「ん?
黙ってないで教えてよ。
普通この時間って、部活とか友達と遊びに行ったりとかするんじゃないの?」
「部活には…入っていません」
「じゃ、友達と遊ばないの?」
「…友達なんて、いません」
私はつい5日前に転入してきて、友達がいないことを言った。
何故素直に言えたのかは、わからないけど…。
私に話しかけてくれる、彼に、どこか心を開いた面があったのだろう。
「へぇ、転入生。
なら友達少ないのも普通じゃない?」
「…クラスの子は、放課後遊びに誘ってくれます」
「え?
じゃあ何でこんな所で?」
「…私、上手く話せないんです」
「上手く話せない?」
「はい…。
私は引っ込み思案の口下手で、折角話しかけてもらえても、上手く受け応えが出来なくて…」
「なるほど」
「その上私、クラスの子が誘ってくれる場所が、苦手で…」
「例えばどこ?」
「カラオケとかショッピングとか、カフェ巡りとか…」
「苦手なんだ」
「はい。
カラオケは音痴ですし、洋服は興味ないですし、口下手ですから、何も話す話題もなくて」
「それで苦手なんだ。
逆に好きな場所はどこなの?」
「図書館とか…ネットカフェとか……」
「…うん。
1人でいられる場所で、尚且つ話す必要もない場所だね」
はぁ…。
恥ずかしくなって来ちゃったよ。


