「高校在学中、浅雛と冷宝は完全に主従関係でした。」



周りはやり過ぎだと思っていたようだが、権力者の娘である薙晶には生徒は勿論、教師さえも逆らえなかった。



「確かに私と薙晶様の関係は良好なものでは無いですが、それで薙晶様を突き落とすようなことはしません。まして、子供の頃のことを今更…」



「事情は分かったわ。でも、あの場を収めるとはいえ、約束した以上調べない訳にはいかないわ。捜査出来るように上に掛け合うから、浅雛は手が足りてない他の班を応援に行って。」


「分かりました。」



関係者である浅雛は、この捜査を外れなければならない。

身内による不正を防ぐ為だ。



「俺は捜査に加わりますよ。浅雛の無実は、俺が証明します。」



「小鳥遊くん、それは…」



寛容な假躍が言い淀むのも無理はない。


小鳥遊も、同級生という立派な関係者だ。



「班長、俺からもお願いします。小鳥遊に捜査させてやって下さい。俺がきっちり見張ってますから。」


「仇夂くん…」



小鳥遊と犬猿の仲である筈の仇夂が、今までに無いくらい真剣に頭を下げていた。