鎮守の森に鬼火が灯る

「美夜、なにぼうっとしてるの?


置いてっちゃうわよ」







大きな日よけ帽子を被ったお母さんが、振り向いて声をかけてきた。




大きな旅行鞄を二つも持ったお父さんも、早く早く、というように手招きしている。







「あっ、待って待って。


こんなところに置いてかれたら、あたし迷子になっちゃうよ」







「こら、お父さんの田舎を『こんなところ』とは、失礼だなぁ」







「ごめーん、お父さん」







あたしは笑いながら、二人のもとに駆け寄った。