鎮守の森に鬼火が灯る

坂道の両側に建ち並んでいた家が、すこしずつ少なくなっていって、最後にはほとんど樹だけになった。





坂が緩くなって、登りきると、左側に大きな古い家が建っていた。



立派な門に掛けられた表札には、『火村』の文字。





それを横目に見ながら、さらに進むと。







「………あ」







夢で見た、あの赤い橋があった。





その先に、黒い森。





そして、迦具山。







あたしは橋の入り口に立った。





橋の下は、底も見えないほどに深い谷だった。







夢の中では橋の欄干に篝火が灯っていたけど、実物の橋は、ただ赤く塗られた手すりがあるだけだった。