鎮守の森に鬼火が灯る

「芳江か泰二に声をかけてみろ。

どっちか車を出してくれるだろう」







「えぇ……それはさすがに………。


だって二人とも、もうお風呂入っちゃったよね?


明日は平日だし、遅くなったら申し訳ないもん………」








おじさんはサラリーマンで、車で二時間以上もかかる会社に毎日通っているらしい。




だから、日曜日の夜に、「コンビニまで送って」なんて頼めない。





芳江さんも、週に三日は早朝パートに行っていて、月曜日は勤務日だって言ってたし。








「まあ、いーや。


一日くらい歯ブラシなくても、何とかなるし。


うがいするから大丈夫」







あたしはおじいちゃんにそう言った。






するとおじいちゃんが考え込むような表情になった。







「………黒石商店の店主は気さくな奴だから、家にいるなら歯ブラシの一本くらい売ってくれるかもしれん」