その3日後。

ポストを覗いた私は、踊り出したくなった。

彼からの手紙が届いていたのだ。

最近では、毎朝ポストをチェックするのが、日課になっている。


メールやらLINEやら、素早く連絡を取る手段なんて、いくらでもあるこの現代。

だけど私は、高梨さんからの返事を待つのが、楽しくて仕方がない。

高梨さんの癖のある、でも丁寧に書かれた文字を見るだけで、私はときめく。


早速開けると、手紙と共にチケットが同封されていた。

私は、満面の笑みでチケットを太陽に透かしてみる。




宮迫すみれさんへ


こんにちは!高梨です。

返事を書いて、そんなに喜んで貰えるなんて思いませんでした。

逆に、こちらの方がお礼を言いたいくらいです。


あれから一か月、もしかしてバイトとかしたのかな。

宮迫さんがそこまでして僕に会いに来てくれるなら、僕もあなたに精一杯の演奏を聞かせたい。

来週末なら、土曜日の夕方からライブをします。

そのチケットを同封しました。

チケットの裏に、駅からの地図が書いてあります。

駅から歩いて10分くらいなので、迷う心配はないと思います。


僕がどんな人かって?

僕は、平凡な人間です。

顔だって、どこにでもいそうな感じ。

声も、高くもなければ低くもない。

もしかして、会ったら宮迫さんを、がっかりさせてしまうかもしれません。


だけど僕も、あなたと同じくらい、楽しみにしています。

あなたに会って、あなたと話をしたい。

本当に楽しみです。


待ってます。



高梨春次郎