柳の言う通り、怖がってばかりじゃ自分の好きなことを押し通すことは出来ないだろう。

何もやらずに無理って言うなんて、本当にカッコ悪いよね。

あたしも飛び込まなきゃ。

柳と同じところに行きたいって、クリスマスイブのあの時思ったじゃない。


「……わかった。いいよ、やってみる」


少しの沈黙の後にそう答えると、電話の向こうからふっと優しく笑う声が漏れた。


『おーし、頼んだ! ま、最初からお前に拒否権はないんだけどさ』

「は?」

『メンバーにひよりがやってくれるって自信満々で言ったから、もう皆その気になってんの』

「こらー!」


けけけっといたずらっ子みたいに笑う柳に呆れつつ、あたしも笑ってしまった。


柳と再会してから、周りも巻き込んであたしの考えや人間関係、いろんなことが変わっていく。

それはきっと、いい方向に。

彼が、あたしを新しい世界に引っ張っていってくれるんだ。


おおげさかもしれないけどそんなことを思って、あたしはこれからの未来にわくわくしながら、期待を膨らませていた。