「…ありがと。妃菜ちゃん。」 そう言って俺はとびっきりの笑顔を向けた。 妃菜ちゃんは満足そうな顔をして 「…ん。」 と言うと少しだけ微笑んだ。 俺はその笑顔に釘付けになった。 だってそれは、彼女が初めて俺に見せた柔らかな笑顔だったから。 心を許してくれてきているのだろうか。 そう思うとすごく嬉しくなって、心が暖かくなった。 これからも君を知っていってどんどん好きになりたい。 そう思えた春の暖かさの残る5月。 君との距離は着実に近づいていた。