「待って下さい!!」



 大きな声で親子を呼び止めた私は、手を繋いで歩く親子に走り寄った。



 私は思い出したのだ。



「な、何ですか?」

「私が話そう」



 びっくりした母親を見て、父親が前に出た。



「これ、サービスです」



 私はそう言って、三つのかき氷を手渡した。



「わーい!いちご味だぁ」



 シロップで赤く染められたかき氷三つを見て、男の子が大喜びした。





「もう、色は変えられません」



 私の方を見て、首を傾げる父親に続けて話した。



「混ぜることだってしてはいけないんです。私は今日、あの子と話して気付いたんです。あの子の好きな色ご存知ですか?」



「いえ……、でもそれがどうかしましたか?」



「赤色です。理由はお母さんとお父さんが好きな色だからだそうです。私の好きな色は青色です。理由はあの子と同じなんです」



 必死に思った事を話しているうちに目に涙が溜まり、溢れ出そうになるのをこらえた。



「分かりました」



 それを聞いて、理解したのであろう父親は「ありがとう」と言った。



 私はお母さんとお父さんが好きな、青色が好きだったんだ。