何気なくグラウンドに目を落とす。
「あ……」
芽依だ。
体育の授業中か。
サッカーしてるみたいだ。
あ、芽依のところにボールが……って、おい!
見事に空振りしてるし……
あいつ、昔から運動神経ないからなぁ…
頭も悪いし。
そのおかげで、俺はなんでもできるようになったんだけどな。
芽依は運動神経がないから
芽依が危ない時に助けられるようになんでもできるようになったし
芽依は頭が悪いから
芽依に勉強教えられるようにすっげー勉強頑張ったし
俺のすべては、『芽依のため』なんだ……
「あーつしくん」
ん…?
声のした方向を見る。
「あ、こんにちは」
1個上のバスケ部のマネージャー、岡田亜由美さんだ。
あれ?
確か岡田さんって、芽依と同じクラスじゃなかったっけ?
「体育サボっちゃったー」
芽依はやってんのになぁ…
って、俺も授業サボってんだから人のこと言えないか。
「篤志くんもサボり?」
「はい、そうですよ」
岡田さんは、俺の隣に座った。
女の子の匂いがする。
芽依とは違う、香水の香り。
*

