俺は今、見知らぬ女に壁ドンされている

「俺、そんなことまで喋ったのか」



男ーー豪は照れ臭さを隠すように抱きしめる腕に力を込めた。


あたしは黙って豪の胸に額を押しつける。



「………寒いな。

とりあえず、どっか暖かいとこ入ろう」



恥ずかしそうに言う豪。

慣れてない感じがダダ漏れで、ものすごく可愛い。



「なにそれ、誘ってんの?」



からかうように言ってやると、男が顔をしかめた。



「野暮なこと言うなよ」


「あははっ、オヤジか!」



あたしたちはくすくす笑い合いながら、夜の公園を出た。




ーーえ?

その後、あたしと豪がどうなったかって?



あんたも野暮ねぇ………。



それは、ご想像にお任せするわよ………。





*蘭サイドfin.




〈恋する変人〉シリーズ


斉藤くん、聞いてますか?

憂鬱なソネット

黒毛のアンと僕。

めんどくさがりの南くん

都合のわるい女