今日は私達のクラスがゴミ拾いをする


「貴方達の班は学校前をお願いね」


よりにもよって大変な所だ、と私は思った


この学校はおかしな造りをしている


学校に入るには校庭を挟んだ向こうにある百段以上の階段を降りなければならないのだ


ゴミ拾いは苦じゃない


階段で体力を消耗するから嫌なのだ


階段の他に急な斜面で学校を覆っている


そこを逆に上るには根性が必要だ


気を抜くとあっという間に地面まで転がり落ちてしまう


よって坂を上りきるのは不可能だ


それをわかっているから私達は常日頃階段を使うのだ











「……よしっ」


紙くず、空き缶、吸殻が入ったゴミ袋の口を縛った


学校前の通りは思ったよりあるんだなぁ


町を綺麗にしよう、のスローガンは本当に効果があるんだろうか


今でも疑問に思っている


私達は五人のメンバーだ


男女2:3


その内の一人の女の子が坂の前に立っている事に気づいた


気になって見ていると女の子は身を投げ出したのだ


私は驚いて身を投げ出した場所にかけよって身を乗り出した


女の子の姿はない


「危ないよ!」


友達に後ろから止められた


私は女の子の姿がない事に焦り、見渡した


すると豪速で校庭を走る人が目に入った


目でその人物を追っていると目にも止まらぬ速さでどこかで走っていく


「皆ー!」


「ぎゃああああああっ!!!」


突然聞こえた元気な声に思わず叫んでしまった


「ぎゃああああっ! いやー!!」


訳がわからずパニックになり叫び続けた


叫びに叫び、友達の声に我に返る


そこには足が速すぎる事で有名な男の子がいた


「先生がゴミ袋もって集合だってよ。 お前、大丈夫か?」


心配そうに見る男の子にコクコクと縦に頷く


もしかして校庭を走っていたのは男の子なの?


安心すると共に疑問が胸をよぎる


女の子はどこに行ったんだろうと


その疑問をよそに友人を含んだ班が階段を降りようとし始めていた


女の子はいない


「待って! あのさ……」


女の子を存在を言おうとした時だった














「おい」


地を這うような恐ろしい声が耳元で聞こえた




【完】