「これを忘れてしまって、教室に取りに来たんだ」
「ああ、しおりを忘れてたんだ。私が一生懸命に作ったしおりだから、忘れちゃだめだよ」
楓は冗談っぽく笑った。
すると、歩が真面目な顔をしていた。
「土屋さんはいつも一生懸命で本当に偉いよ。体育祭の旗作りにも参加しながら修学旅行の実行委員の仕事もしていたんだから、すごいよなぁ」
体育祭の旗は、クラスごとにスローガンを入れて作るという決まりがある。
旗作りは、主に女子たちがしていたのだが、みんな塾があったり、用事があり、放課後残れないと言われ、楓がひとり残って旗の色塗りをせっせとしていたのだ。

