「楓、怖いなら、おれの手をにぎりしめてもいいんだぜ?」 大和が短い髪をかきあげるような仕草をして、決め顔で言ってくる。 楓は、腹が立ったので、大和の手の甲を思いきり、つねってやった。 「いって~」と大和が、悶絶している。 乗り物酔いした和也が席をゆずってやったりして、見直していたが、大和の評価はまたしても地に落ちていった。 しかし、さっき怖い話をきいたばかりなので、正直このトンネルは通りたくない、と楓は思う。 怯える楓のことなど、おかまいなしにバスは犬飼トンネルの中へと走る。