春樹は動揺を隠すことができず、あらかさまにその女を疑視する。
「ちょっと春樹ーなにもないじゃん。」
「あそこにいるだろ……………なんでお前には見えないんだよ。」
だからなんのことだ、と桃菜がもう一度春樹のほうに目を向けた、その時。
────ドサッ
春樹が、目の前で膝をついて倒れたのだ。
いきなり倒れた春樹に桃菜は近づき、顔を覗く。
そこには、青白い春樹の顔があった。
「え、ちょ、どうしたの?」
「なんで……お前には見えないんだよ」
“見えない”とは、どういうことなのだろうか。
桃菜の視界には暗闇と春樹しか映っておらず、その他のものなど全くもって映らない。
「え、な、なに?なにもないじゃん。ほんと何やってんの?」
春樹は額に皺を寄せる。
「お前な……………!」



