「そんなことをしてまで…お前はっ!!」


「おっと、君の言う事を信じる人間なんて、研究室(ここ)にはいないよ。そうだ、論文を盗ませてくれたかわりに、北極海の調査メンバーに君を推薦してあげるよ。行きたがっていたから、丁度いい機会じゃないか。感謝するんだね。」


感謝…………??


こんな奴に感謝などするはずがない。


「なにが感謝だ…………!するわけないだろっ!!俺が苦労してやっと書き上げた論文を横取りしたお前なんかにっ!!!」


船田は川崎に強く怒鳴った。


そのときは頭に血が昇っていて気がついていなかった。






自分を見ている、恐ろしい"もの"に。