「て、に……………入れ、なく、ても、いい、よ…………ゆ、りを、殺し、たくない……………でてって、よ……………私の、なか、から……………」
きっと麻耶はこの帽子と闘っている。
あの、【悪魔】と……………。
麻耶、負けないで。
こんな悪魔に惑わされないで、
自分を信じて。
「麻耶!目を覚ませ…………!!」
そのとき、あたしの首を締めていた手の力が少しだけ緩んだ。
あたしはその隙を見逃さない。
上体を起こし、あたしはガシっと麻耶の肩を掴む。
「あたしは麻耶を裏切らない!
麻耶のこと、大切だと思ってる!
どんなケンカしたって、麻耶だったらなんでも許そうと思える。
麻耶だから、あたしはいつも男言葉を普通に話せる。
だから、麻耶……………」
乱れた髪の毛から少しだけ見える麻耶の瞳。
それは少しだけ潤んでいるようにも見えた。
「思いつめる前に、ちゃんとあたしに言えよ!!
麻耶はもう、充分苦しんだ。
麻耶はもう、充分泣いた。
これ以上、不幸になることなんてない!」
「……………と?」
か細い声で、麻耶は言った。
「ほ、んと、……………?」
「本当に決まってるだろ?
あたしは嘘はつかねーよ。」
麻耶の瞳から、一粒の雫が落ちた、その瞬間に───
────帽子は、光の粒となって消えた。



