「桃菜お前どこ行ってたんだよ!」
「どこって、春樹いなかったから先輩と一緒にいたのー」
「先輩って……あ!先輩いたんですか?」
……………今の言葉はひどいな、うん。
いたんですか?って、いや、最初からいたよ。
「どうして村上くんがここにいるの?」
麻耶が聞いた。
「どうしてって、僕が聞きたいですよ。桃菜だって勝手にいなくなるし…………。」
「まぁとりあえず、村上くんも座って?今桃菜ちゃんに状況を説明してるところだから丁度いいし。」
「はぁ、わかりました。じゃぁ座りますね。」
村上くんもとい『村上春樹』くんは桃菜ちゃんとあたしの間に座る。
麻耶は村上くん苦手だもんなぁ〜………まぁ合わないんだよ、2人は。
あたしはそんなに嫌ではないな。
むしろ話しやすいというか、なんというか。
"女子扱い"してくれるんだよ!?あたしのこと!
あはは、あたしのこと女子扱いしてくれる男子って数えてもいないくらいでさ。
だから案外貴重だったりすんのよ、こういう子。
……………あ、話を戻そうか。
とりあえずあたし達は2人にこの状況を説明した。
村くんはすぐに理解したみたいだけど、桃菜ちゃんはそうはいかず、村くんに代わりに説明してもらってようやく理解した。
……………ここまで、およそ数十分。
ようやく話が一段落したところで、あたしと麻耶は2人にある質問をすることにした。
"あの本"を読むことになってしまったキッカケを。
*
「キッカケですか?そうですね……本屋でたまたま見かけてつい買っちゃったんですよ。それでそのまま読んで……」
麻耶と同じだ。
あたしは自分の部屋にあの本が置いてあったという謎の状況だったが、麻耶の場合は本屋で売られていたものを購入して読んだからであって、それは村上くんと同じ。
麻耶は心底嫌そうな顔をしている……うん、わかるよ、わかるけどさ。
今はおさえようぜ、今は。
「じゃぁ、桃菜ちゃんは?」
麻耶が桃菜ちゃんに聞いた。
「わたしは家にその本があったんですよ!」
…………まじか。
家にあったって、それあたしと似たようなもんじゃんか。



