パズル~その本を読んではいけない~



「真正面って、……………っ!!」


ボンッという音と共にあたしの目と鼻の先1cmほどのところにやかんが出現して、あたしの顔に直撃した。


それと同時に、またアナウンスてきなやつが流れた。


『やかん(お湯入り)が顔面に直撃したため、HPが10減ります。なお、HPは残り90です。回復薬はエリア内に存在しています。では、失礼します。』


「まじかよ……………」


まじな話でHP減るのかよ、やかんが当たったくらいで。


……………火傷して痛いけどさ。


さっき当たったところは、やかんに熱湯が入っていたせいで、少し赤くなっていた。


そして、顔に当たった衝撃でやかんは床に落ち、短剣にかかった。


ジュワ……………とお湯が短剣にかかる。


あたしは試しに短剣を掴むために、制服の中に着ているカーディガンの袖で手を覆った。


「よっしゃ……………!」


予想通り、お湯をかけたら短剣は獲得することができた。


地味にミッションてきなやつかけてくるんだな、このゲーム。


あたしは短剣を片手に2つ持って、入るときと同じようによじ登って箱の外に降りた。


「お待たせー」


「もー!閖遅い!なにかあったのかと思ったじゃない………」


「ごめんって、まぁアイテムゲットできたから許してって」


「アイテムって……………なにゲットしたの?」


あたしは短剣2つを麻耶の前に差し出した。


「うわぁ!かっこいいね、これ!閖構えてみてよ。似合いそうだし。」


「まぁいいけど……………」


あたしはアニメのキャラクターがやっているようにちょっとポーズをしてみた。


麻耶は「やばいって!」と興奮した様子ではしゃいでいる。


「ま、これで二人とも武器はあるし、敵に遭遇しても大丈夫っしょ。」


「うん。じゃぁピース探しに行こ。この部屋には無いみたいだから、隣の部屋探そ」


あたし達はこの部屋から隣の部屋に移動することにした。













「それにしても広いんだね、この部屋。」


隣の部屋に移り再び捜索に入ってしばらくして、麻耶が呟いた。


確かにこの部屋は妙に広くて、見た目もそこらの学校の理科室に似ている。


理科室ほど探すのが面倒な場所はないだろう。


ある小説で宝探しが題材だったとき、理科室の捜索に手間取っていた。


今あたし達がいる場所は理科室じゃないけど、ま、似たようなもんでしょ。


あたし達はそこかしこにある引き出し、戸棚、机の中など、調べられる限りのところを調べた。


そして、残すは中央1角にあるひとつの机だけになった。