「真正面って、……………っ!!」
ボンッという音と共にあたしの目と鼻の先1cmほどのところにやかんが出現して、あたしの顔に直撃した。
それと同時に、またアナウンスてきなやつが流れた。
『やかん(お湯入り)が顔面に直撃したため、HPが10減ります。なお、HPは残り90です。回復薬はエリア内に存在しています。では、失礼します。』
「まじかよ……………」
まじな話でHP減るのかよ、やかんが当たったくらいで。
……………火傷して痛いけどさ。
さっき当たったところは、やかんに熱湯が入っていたせいで、少し赤くなっていた。
そして、顔に当たった衝撃でやかんは床に落ち、短剣にかかった。
ジュワ……………とお湯が短剣にかかる。
あたしは試しに短剣を掴むために、制服の中に着ているカーディガンの袖で手を覆った。
「よっしゃ……………!」
予想通り、お湯をかけたら短剣は獲得することができた。
地味にミッションてきなやつかけてくるんだな、このゲーム。
あたしは短剣を片手に2つ持って、入るときと同じようによじ登って箱の外に降りた。
「お待たせー」
「もー!閖遅い!なにかあったのかと思ったじゃない………」
「ごめんって、まぁアイテムゲットできたから許してって」
「アイテムって……………なにゲットしたの?」
あたしは短剣2つを麻耶の前に差し出した。
「うわぁ!かっこいいね、これ!閖構えてみてよ。似合いそうだし。」
「まぁいいけど……………」
あたしはアニメのキャラクターがやっているようにちょっとポーズをしてみた。
麻耶は「やばいって!」と興奮した様子ではしゃいでいる。
「ま、これで二人とも武器はあるし、敵に遭遇しても大丈夫っしょ。」
「うん。じゃぁピース探しに行こ。この部屋には無いみたいだから、隣の部屋探そ」
あたし達はこの部屋から隣の部屋に移動することにした。
*
「それにしても広いんだね、この部屋。」
隣の部屋に移り再び捜索に入ってしばらくして、麻耶が呟いた。
確かにこの部屋は妙に広くて、見た目もそこらの学校の理科室に似ている。
理科室ほど探すのが面倒な場所はないだろう。
ある小説で宝探しが題材だったとき、理科室の捜索に手間取っていた。
今あたし達がいる場所は理科室じゃないけど、ま、似たようなもんでしょ。
あたし達はそこかしこにある引き出し、戸棚、机の中など、調べられる限りのところを調べた。
そして、残すは中央1角にあるひとつの机だけになった。



