「さなぇぇ……………っ」
麻耶は涙を流して早苗の名前を呼んだ。
「麻耶……………閖、ひとつだけ、教えてあげる。─────このゲームは、ただのゲームじゃないよ。現実世界に影響を及ぼすんだ。だから、注意してね?」
「さ、なえ……ご、めんね………っ…!」
麻耶は、早苗に手榴弾を投げた。
──────ボンッ!
大きな爆音と共に灰色の煙がこの部屋を包んだ。
視界は朧で、敵が倒されたかどうかも定かではない。
ただひとつわかるのは、麻耶がそこに座り込んで、涙を流しているということ。
あたしは麻耶に近づいて頭をポンポンと叩いた。
麻耶はこうすると、落ち着くみたいだからさ。
しばらくの間、麻耶は涙を流し続けた。
あたしはひたすら麻耶の頭を撫でた。
落ち着いてほしくて。
泣かないでほしくて。
ようやく麻耶が落ち着きを取り戻した頃には、部屋の煙はだいぶおさまってきていた。
あたしは部屋を見渡した。
もしかしたら、何かアイテムが残っているかもしれないと思って。
「……………あった。」
「え?なにかあったの?」
「……………箱、」
おおきな、箱を見つけた。
あたしはその箱に近づいて、ゆっくりと箱を開けた。
その中には、あたしが望んでいた武器が入っていた。
25cmぐらいの短剣が、2つ。
あたしが好きなデザインで、あたしが好きな長さで、とても気に入った。
でもその短剣は、縦1m横5m奥行3mというとても巨大な箱の中に入っている。
短剣が入っていると確認するだけでも苦労したというのに、それを取り出すとなるととても大変だ。
これは……………中に入るしかないな。
あたしはその箱によじ登って中にストんと下りた。
「……………よしっ」
真ん中にクロスして置かれている短剣2つをあたしは掴んだ。



