そんなの、絶対に嫌だ。
はやくこのゲームを終わらせて、元の生活に戻る。
だからログアウトできようができまいが関係ない。
終わらせれば、いいだけのこと。
──────コツ……………コツ……………
広くも狭くもないこの部屋に、靴音が響いた。
「閖……………とりあえず、隠れない?」
「そうだね。じゃぁあそこの物陰に隠れようか。」
あたし達は扉から一番離れた棚の影、扉からは死角になっている場所に隠れた。
耳を澄ましててみると、靴音はこの部屋を出て少ししたところ辺りから聞こえる。
この研究所、妙に音が響くからすぐにわかる。
まぁある意味助かるけど。
あたし達は息を潜めて物陰に隠れる。
電気が点いている今は、少しの油断が命取りとなってしまう。
本当、タイミングが悪い。
──────ガラッ
この部屋の扉が、とうとう開かれた。
……………どうしてこんなに敵に遭遇するんだよ。
もしかして狙ってきてるとか?いや、それはないよな……………。
「プレーヤー捜索開始…………」
低くも高くもない中間地点に当たる声で、男か女かの区別がつかない。
でも靴音はする、つまり人に近い。
また健くんにそっくりな敵とかはやめてほしい。いや、まじで。



