「とりあえずマイページ開くか………」
手をぱっとやると、ピピッという音が鳴って、マイページが開かれる。
慣れた手つきであたしはマイページを見渡した。
そのとき、ある異変に気づいた。
「麻耶…………ログアウトボタンがない」
ログアウトボタンが、そこにはなかった。
もちろん、好きなときにログアウトができるからログアウトボタンがあるわけではなく、敵に見つかった際に「ゲームオーバー」と言われたら自動的にボタンが押される仕組みになっているらしい。
決して、自分の意思でログアウトができるわけではないのだ。
そして、これが意味することはただ一つ。
……………もう、ログアウトすることはできない。
つまり、クリアするまでこの空間から出ることができないということで、それはクリアをしなければ元の生活には戻れないということ。
「うそ……………今までは、ちゃんとあったのに……………なんで??」
麻耶は慌てたようで、少し涙目だ。
「多分…………何かが起こったんだよ。たとえば、何かアイテムを獲得したから、とか、それか……………」
あたしはある可能性を口にした。
「パズルのピースを、見つけたから。」
こんなのただの勘だけど、当たりそうで少し怖い。
でも、もしそれが本当だとしたら、あたし達はこのパズルを完成させるまでここから出ることはできない。
そして、最終的には。
……………死んでしまう。



